Ethipor

Ethipor(エシポル)=Ethical(エシカル)+Português(ポルトガル語) *ポルトガル、ブラジルのエシカル情報を発信します。

ポルトガル発で初の・サステイナブルなプロジェクト~ファウンダー(創業者)へのインタビュー編~

「旅+サステイナブル」。

前回は、パンデミック下の旅というテーマで記事を書いたのですが、書きながら、
[自由に色々な場所へ旅をする]ということは、本当に贅沢なことだったのだなぁとしみじみ感じてしまいました。
いつか、また自由に旅ができる日々がくることを願い、、今回も旅をテーマにしてみたいと思います。

さて、今回は、サステイナブルなライフスタイルを体験できてしまう場所Biovillaのお話をしたいと思います。
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前半は、創業者の方のインタビューをご紹介し、後半(次回)は、Biovillaに実際に泊まった感想をレポートしますね!
**パンデミック前に宿泊した体験レポートとなります**

Biovilla~ポルトガル初のエコビレッジプロジェクト~

リスボンからバスで約1時間。ブドウ畑に囲まれた、モシュカテルワインの生産地・パルメラ。人口約6万人(2011年)のちいさな町にあるここ、Biovilla周辺にはコンビニはもちろん、スーパーもありません。その代わりに、その自然豊かな土地には、新鮮で旬な野菜・果物が育つオーガニック栽培の農園、そしてサステイナブルなライフスタイルを実際に体験できる宿泊施設があります。

宿泊施設以外にも、その広大な自然を持つBiovillaでは、自然の中で行うヨガ教室、音楽教室、サステイナブルなライフスタイルを実践するためのワークショップも開かれていて、イベント/ワークショップだけ参加したいという宿泊をしない地元の人達にも人気のスポットとなっています。

さて。そんな、ポルトガルのエコビレッジプロジェクト・Biovilla.
一体、どんなところなのでしょうか。その前に。創業者の方から直接、Biovillaがはじまった経緯を聞いてみました!

仕事をやめて、世界を旅した先にあったもの

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-Ethipor:「ここは自然に囲まれながら、ゆったりとした時間を過ごせるので、いいですね。本当に気に入りました。でも、それだけではなくて、サステイナブルなライフスタイルを体験できるという意味でとてもユニークな場所だと思います。
そこでバーバラさんにお伺いしたいのですが、このプロジェクトは、どういった経緯で始まったのでしょうか。」

-バーバラさん「ありがとうございます。気に入ってもらえて、とてもうれしいです。実は、このプロジェクトを始める前は、私は、私の夫と世界を旅していたんです。もっと言えば、その前は、ユニリーバの社員で普通に働いていていました。」
-Ethipor「えぇ?ユニリーバで働いていたのですか?それが、どうして今行われているサステイナブルな事業へとつながったのでしょうか?」
-バーバラさん「そう思うでしょう(笑)」
-バーバラさん「ユニリーバで働いているときに、ユニリーバが取り扱っている商品にフェア・トレードのアイスがあることを知りました。そこからフェア・トレードって何だろうと興味を持ち始めて、フェア・トレードについて学び始めました。そうして学んでいくうちに、「世の中にこんなビジネスがあったなんて!何て素晴らしいビジネスモデルなんだろう?!」という思いに駆られていき、次第にサステイナブルな分野へと自分の興味がシフトしていきました。

-Ethipor「なるほど~。そういったきっかけがあったのですね。とても興味深いです。でも、なぜ数あるサステイナブルな領域の中でも、このようなエコビレッジをつくるということを選んだのでしょうか?」
-バーバラさん「そうですね、、、。まずは、旅に出て、自分自身と向き合ったということが大きかったです。」
-Ethipor「旅。ですか?」
-バーバラさん「はい。先ほど少しお伝えしましたが、フェア・トレードを学んでからも、しばらくユニリーバで働いていたのですが、最終的に私は会社をやめるという決断をしました。そして、夫と一緒にもっと、世界を知るために旅へ出ました。」
-Ehipor「思い切った決断ですね!それは、やはり、フェア・トレードのことを学んでいくうちに、もっと自分が知らない世界のことを知りたいという気持ちが強くなったという事でしょうか?」
-バーバラさん「はい。そうです!」
-バーバラさん「いくつかの国を巡りましたが、インドに滞在中、インドのエコビレッジ・Aurovilleと出会いました。ここで私たちは大きな刺激を受け、そこから、Biovillaをつくるための構想を得たのです。」

“結局わたしたちがやりたかったことは、サステイナブルなライフスタイルを実践できる場所をポルトガルでつくる”ということだったの。-バーバラさん-

-バーバラさん「私たちはいろいろな所へ行き、いろいろな経験をしました。そうして世界中を旅する中で、私たちは気づいたんです。世界全体を見たときに、今、必要なのは一人でも多くの人がサステイナブルなライフスタイルを実践してみるということ。そして同時に、こうも気づいたんです。結局、わたしたちがやりたかったことは、こうしたサステイナブルなライフスタイルを実践できる場所を母国・ポルトガルでつくるということをね。」

-Ethipor「素敵ですね!そういえば、ポルトガルでこのようなサステイナブルな体験型宿泊施設があるなんて、知りませんでしたし、聞いたこともありませんでした。」
-バーバラさん「はい、ここがポルトガルで初めてのプロジェクトです^^」
-Ethipor「そうなんですね!?素晴らしいです!」
-Ethipor「ところで、バーバラさん。最後に、お伺いしたいのですが、このプロジェクトを運営していく中で何か困難なことってありますか?」
-バーバラさん「う~ん。そうですね、、、。おかげさまで今のところ、運営していく上で困難に感じることはあまりないですね。それより、[ゼロから何かを始める]ということが本当に大変でした。なぜなら、ポルトガル国内には見本となる前例はなかったですし、何より私たちには知識・経験がありませんでしたから。」
- Ethipor「確かに...。ゼロから何かを始めるとは、簡単なことではありませんよね。でも、
それをどう乗り越えたのでしょうか?」
-バーバラさん「本当に、初めの数年は、構想はできたものの、中々それを形にすることができなかったということがつらかったです。ただ....。私たちはあきらめませんでした。動き続けました。それだけです。」

バーバラさんたちは「ポルトガルでサステイナブルなライフスタイルを実践できる場所をつくる」という夢/ミッションを持ち続けました。そして構想から5年後。政府から補助金を受け取り、大きな一歩を踏み出すことができました。

バーバラさんのお話を伺い、「信念を曲げずに、あきらめずに、動き続ける大切さ」ということを学ばせていただきました。
「ありがとうございました、バーバラさん!」

さて、次回は、あなたのライフスタイルもきっと変えたくなってしまう(?)ようなBiovillaでの宿泊体験をレポートしますね。
お楽しみに!
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旅と本とサステナビリティ-リスボンの本屋から-

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パンデミック下での旅
パンデミックで今まで当たり前にできたことが、そう簡単にはできなくなってしまった。
わたしにとってのその1つは、旅である。自分の予算と相談しながら、行きたい場所を決め、体験したいことを決め、
スケジュールを組む。旅の途中で起こる想定外なハプニングや、現地の人々とのちょっとした交流は、いづれは旅の中で忘れがたい思い出となる。それが、「旅」ではないだろうか。

パンデミック宣言から早、1年以上が経過した。旅はおろか、外出することも極端に減り、ふと、心の栄養不足を感じ始めたときに手に取ったのは本だった。

その中の1冊は、リスボンにあるブックストア[STET]で買ったものだ。STETは、審美眼を持ったオーナーが選んだポルトガル国内や海外から集めた写真集、アーティスティックな本を中心に扱っているブックストアで、置いてある本はインディペンデント系出版社からのものも多く、一般的なブックストアでは出会えない貴重な本に出合える場所である。

STETのお店自体は、お世辞にも大きいとは言えない。大人が大股で歩けば、数十歩もすると一周できてしまう。けれども、一度その空間に足を踏み入れ、見渡してみると、飾ってある美術品、空間に適した本数、心地よい良い明るさの照明が、
良い本に出合うためには、必ずしも大きなブックストアである必要はないということを教えてくれている気がする。

本とサステナビリティ

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デジタル時代に生きているものの、私自身、デジタルで本を読んだことがない。
それは、アナログに対する私が個人的に持っている安心感や、デジタル時代に対するちょっとした抵抗感から来るものなのかもしれないが、それ以上に本を紙媒体で読むということは、本/紙の記憶と思い出(読んだ時の情景や、感情)が結びつきやすくなるという性質を持っているからかもしれない。

そして、そんな紙媒体の本を取り扱う本屋では、時には店員さんが、読みものを求める人に本のナビゲーターのような存在になってくれることさえある。その体験は、パンデミック中は日常的に感じにくい[社会との小さなつながり]を再認識できる場でもあり、本屋とは、ただ本が並べてある場だけではなく、人が社会との小さなつながりを感じる空間にもなり得るということを思い出させてくれる。

私がSTETに行くきっかけとなったのは、私が尊敬するポルトガル在住のアーティストが、私に紹介してくれたからだ。「とても素敵なブックストアだけれども、ちょっと離れた場所にあるんだよ。」という事ではあったが。メトロから歩いて15分ほどの場所にある、STETのガラスドアを初めて開けると、オーナーが、少し驚いた様子で階段から降りてきてくれた。

彼女は、STETがALVALADEに移転して、ブックストアとしてだけでなく、時には本をテーマにしたディベートの場や、アートギャラリー、ブックフェアの場にもなっており、近年本やアートを愛する人々が交流するプラットフォームになってきていることがうれしいと私に語ってくれた。特に探している本はなかったので、何となく今読みたい本を漠然とではあるが、相談してみることにした。そこで、彼女が勧めてくれたものは、ブラジル・アマゾンの文化をサステイナブルな視点で紹介している本であった。

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[写真をとってもいいですか?]と聞くと、お気に入りの本を手に、チャーミングなポーズをとってくれた、STET店主.

アマゾン地域に元々住んでいる住民は、植物繊維100%でハンモックや日常的に使うバッグを作っていたり、果実の外皮を乾燥させ食器として使用していたり、ピラルク―(アマゾン地域に生息する巨大魚)を食した後は、強固なピラルクーの舌を爪やすりとして再利用している等々、自然からの頂き物を最大限に利用した人々の生活を知ることは、1年以上どこにも旅に出ることのできなかった私にとって、旅を通じて得る充足感に似たものを感じるのに等しかった。


現在、深刻な森林伐採が進み、環境政策に無関心な大統領によってブラジルは、国際社会から大きな批判を浴びている。けれども、「ブラジル」を日々つくり上げている人々にフォーカスを当てて見てみると、自然と共生し、自然からの財産を守り抜くことを選んだ人々も数多く存在しているということを再認識させられ、正直どこかほっとしている自分がいた。

本を読み終え、ずらりと並んだ協力者のリストに目を追うと、1名だけ見覚えのある名前があった。それは、ブラジル留学時代の友人で会った。本を閉じ早速本人に連絡を取ってみると、友人本人であることが分かった。

数年ぶりの連絡は、ブラジル留学時代や、どこかぼんやりとした記憶で残っていた、これまでの旅の思い出が蘇るきっかけにもなった。

ポルトガルの小さなブックストアに入り、オーナーに勧められて手にした本。
本の中で、自然と共生しながら生活を行うブラジルの人々と出会い、そしてブラジル留学時代の友人と再びつながった私は、パンデミックの中でも小さな旅は何度でもできるのだと確信をした。
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アマゾンについての本。1つ1つ手作業で装丁されたようなスタイルも目を惹く。

STET:
Rua Acácio de Paiva, 20A | Alvalade,Portugal.
*現在は、事前アポイント制での営業。

知られざるサステイナブルな島~ポルトガル・アソーレス諸島~(後編)

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サステイナブルな工房
前回は、クレサソールが運営しているサステイナブルなレストランをご紹介しました。
あれから、1年以上が経ちますが、レストランで食べた味が懐かしく、日に日に恋しくなってきています。。

さて、今回はクレサソールの認証マークを獲得している工房をご紹介したいと思います。
ここは、工房とショップが隣接しており、アリスカという名前で活動をしています。

このアリスカでは、8名の職人さんが働いていて、私が訪ねた時は3人の職人さんが黙々と工房で作品を作っていました。工房の中には、陶器やアクセサリーを焼く大きな窯があり、職人の方が一つ一つの工程を丁寧に仕上げていく姿を見ることができました。
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アリスカの最大の特徴は、そのミッションにあります。それは、薬物に手を染めてしまった人たちを社会から排除するのではなく、彼らが社会復帰できるようにキャリアの面からサポートしていこうという点です。実際にここで働いている職人は、薬物依存の経験があるものの、社会復帰を目指し、日々職人としてのスキルを磨いています。

身近な課題/問題と向き合っていくということ
アリスカを訪れたときに、私の中で何かがモヤモヤとしていました。
というのも、ここで出会った人々が持つ「穏やかな表情」と、「薬物」という2つの事実がどうしても結び付かなかったからです。

そこで、このアリスカの責任者であるジルさんに、その気持ちを正直に話してみたら、興味深い話をしてくれました。

「そもそも、なぜアリスカができたかを話した方がいいのかもしれません。アソーレス諸島は、今では酪農、漁業といった分野だけでなく、観光業にも力を入れ、島として少しずつ経済発展を遂げています。

ですが以前は本当に貧困が深刻で、こうした危機的状況から逃れるために北米やカナダへ渡った人(*ちなみに、カナダ人の有名歌手:ネリー・ファータドは、カナダ生まれですがルーツはアソーレス諸島にあるそうです。)や、中には不法移民という手段を選び海外へ渡ったものの、強制的にアソーレス諸島へ送還された人も少なくはありませんでした。

彼らの中には北米で生まれ英語圏で育ったがために、ポルトガル語を喋れなかったり、また、アソーレス諸島の社会に上手くなじめずに精神疾患をわずらい、中には薬物依存に陥る人々もでてきました。つまり、貧困や薬物依存というのは、アソーレス諸島の社会問題の1つで、その問題と向き合うためにこの活動が始まったのです。」

社会と薬物依存
アリスカを訪れる前日に私はとある観光ツアーに参加したのですが、(偶然なことに、ツアー会社の創業者は、クレサソールのローカルビジネス支援プロジェクトを受講し、このビジネスを始めたそうです。)その創業者兼ツアーガイドが私に言った言葉をちょうどその時、思い出していました。

「私は、数年前にカナダに数か月滞在したことがあるんです。でも、やっぱりここが好きだから戻ってきました。のどかですよ、ここは。それに、人の数より、牛の数の方が多い場所なんて信じれます?

もちろん、問題もあります。そうだ、せっかくここに来たのだから、良いところだけでなく悪いところも、あなたに知ってもらわなくっちゃ。この島の中心地にはもう行きました?中心地に行けば、残念ながら昼間でも薬物を使っている人々を見るかもしれませんね。それに、最近私が気になっていることは、人々のスマートフォン中毒です。それによって、人と人とのつながりが希薄になっている気がするんです。

だからね、私は最近、友人と集まるときは、こんなルールを提案しているんです。それは、みんなの携帯を一つのテーブルに集めて、一緒にいる間は携帯を触らずに、会話に集中するっていうね。」

彼女が語ってくれたこと。そして、アリスカのジルさんが語ってくれたアリスカが誕生したきっかけ。
薬物依存と人/社会とのつながりの希薄化は、もしかしたら無関係ではないのかもしれない、、ということが
ふと頭をよぎりました。
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アリスカを案内してくれたここの責任者のジルさん

ジルさんは、一瞬フェルナンド・ペソア(ポルトガル出身の詩人)を彷彿とさせるような雰囲気の持ち主で、とても熱心にアリスカのこと、そして、ここで職人が作っている作品について語ってくれました。また、近年アリスカとして力を入れているというソーシャルマーケティングについても語ってくれました。1点私が気になった点が、アリスカの立地です。

中心地/観光スポットから少し離れたところにあるので、ショップに中々人が来ないのでは??と思ったのですが、
ジルさんに聞くと、近くのホテルと連携し作品を卸したり、SNSやメディア使い宣伝広告しているようですので、
それを聞いてなんだか、少し安心しました。

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出典:ARRISCA

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廃材を有効活用したベッドのフレーム

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認証マークとアリスカで作られたピアス

ところで、ここでの売れ筋商品は何だと思いますか。それは、廃材を有効活用したベッドのフレームや、椅子です。もともとは貨物等を運ぶ際に使用するパレットでしたが、それらを捨てずに、見事に有効活用したのが、アリスカの家具です。素敵なアイデアですね。

最後に、ジルさんにこんな質問をしてみました。
「この仕事を行っていく中で一番困難な事って何でしょうか。」
ジルさん「人々の偏見を取り払うことに一番苦労を感じますね。
決して偽善的なきもちで我々の商品を買ってほしくはないし、お客さんには商品に魅力を感じるからという理由で買ってほしいですね。」

その言葉は、ジルさんがアリスカの商品に対して確かな自信を持っていることを
伺わせるものでした。

キリスト教の影響を受けながら島独特の文化を形成し、その文化がまだ息づいているサンミゲル島。サステイナブルな社会というと難しいように感じられますが、今回の訪問で、私の中で改めてサステイナブルな社会について
再考することができました。
それは、環境になるべく負荷を与えない生活を送ることも、受け継がれる伝統文化を守り抜き継承していくことも、身近にある社会的課題と向き合っていくこともサステイナブルな社会を作っていく上でどれも、大事な一歩であるということ。

そして、そこに夫々が持つ知恵やアイデアが加われば、一体どんな未来を作れるだろうということを想像し、帰路につくことにしました。
BOY AND GIRL

知られざるサステイナブルな島~アソーレス諸島~(食事編)

サンミゲル島にあるサステイナブルなレストラン

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写真上:コジーニャ・カイロスとエリザベッチさん

前回
は、クレサソールが発行するサステイナブルな認証マークを持っている団体をご紹介しました。サンミゲル島に代々伝わる伝統工芸や食文化。過去から現在、そして未来へ繋ぐために活動を行っている女性たちと出会うことができました。さて、今回はどんな出会いが待っているのでしょうか。

今回は、サンミゲル島で今最もユニークでサステイナブルなレストランと呼ばれている、カイロス・コジーニャをご紹介したいと思います。

実はここも、クレサソールが発行しているサステイナブルな認証マークを持っています。
ところで、一体どこがユニークでサステイナブルなのだと思いますか?

カイロス・コジーニャがサステイナブルなレストランとして選ばれた理由


まずは、食材です。ここでは、有機農法で作られた新鮮なローカル食材を積極的に採用しています。サラダに使われている野菜、お魚やお肉料理に添えられるハーブ類。これらはどれも島内で採れたフレッシュな野菜です。食材だけではありません。提供するメニューにもこだわりがあります。それは、島の伝統的な料理が楽しめるという点です。「おばあちゃんや、おじいちゃんの時代ではよく食べられていたのに、残念ながら今ではあまり食べられなくなってしまった、、、。そんな料理が、ここなら食べれる。」という事もあるそうです。

嬉しいのは、そんな素敵な料理がリーズナブルなお値段でいただけること。平日のお昼に私は訪れたのですが、スープ、本日の一皿、飲み物、デザート、さらには食後のコーヒー付きで8.5ユーロでした。(1ユーロ=120円で計算をして、約1,000円)もちろん、レストランの中は地元の人々であふれていました。

さらにカイロスは、インクルージョンという点から見てもサステイナブルな取り組みを行っています。それは、身体またはメンタルに障碍のある人々を積極的に従業員として採用している点です。

COMIDA DE KAIROS
写真上:本日のプレート(乾鱈のクリームグラタン)クリーミーで濃厚な味でしたが、重すぎず、鱈の味をしっかりと味わう事ができました。

お豆のケーキをつくったのは、だれ?


1つ、印象深いエピソードがあります。一緒にお昼を食べたエリザベッチさんに勧められて最後に食べたデザート。この島の伝統的なお菓子(お豆のケーキ)ということなので食べてみたのですが、これがやさしい甘さで、これなら1つ食べれると思ったケーキでした。食べ終わるころに、エリザベッチさんが「このケーキを作っているのはね、実は盲目の女性なのよ」とさりげなく私に教えてくれました。

エリザベッチさんによると、キッチンの中にいる大半の従業員の方はメンタルや、身体的に障碍を持っている方のようです。ただ、レストランの中を見渡しても特別そのような事が書いてるわけでもなく、、。逆に言えば、様々な人が働いている=インクルージョンしている仕事場というのは、カイロス・コジーニャでは説明する必要はなく、当たり前の光景なのかもしれません。

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写真上:やさしい甘さのお豆のケーキ

カイロス・コジーニャは島内で成功を収めていて、店舗を増やすことで徐々にその活動範囲を広めていっています。
これからカイロス・コジーニャがどのように広がっていくのか、、、。今からとても楽しみです。

さて、次回はいよいよ「アソーレス諸島のサステイナブルな取り組みを訪れる旅」の最終回です。
おたのしみに!

Kairós Cozinha
Rua Nicolau Sousa Lima, 7 – Paim – 9500 Ponta Delgada
月曜~土曜(8:00-20:00)

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知られざるサステイナブルな島~ポルトガル・アソーレス諸島~(中編)

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過去、現在そして、未来へとつなぐもの
前回お話したサンミゲル島内で流通するサステイナブルな認証マーク・CORES(コーレス)。それでは、一体どのような団体が認証マークをもらっているのでしょうか。

ポルトガルらしい強い太陽の光を浴びながら石畳を歩きふと顔を上げると、青い看板が見えてきました。「ここよ」というエリザベッチ(クレサソールのメンバー)さんが指指す小さな建物にたどり着き、少し重たいドアを開けると、そこには縫物をする女性たちの姿がありました。

ここでは主に、オーダーメードの縫物、縫物の補修、また伝統的な装飾品等がつくられています。繊細な刺繍が施されたハンカチ、タオル、ナフキン等は、この島の伝統工芸品の一つです。
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写真上:女性たちがつくった商品(左上のハーブティーは除く)。商品についているタグ(CORES)は、サステイナブルな取り組みを証明する認証マークです。

私が訪れたときはまさに、島の行事のために彼女たちが準備をしている最中で,今回幸運にもその現場を見させていただくことができました。

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写真上:設立当初から働いている女性たち。ここで働く前は自宅で縫物をしていたそうですが、この現場で本格的に働くことで、技術を学んでいったと語ってくれました。

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写真上:「ほら、もうすぐ完成よ。」オーダーメードの作品はもちろん、お得意さんから依頼を受けた縫物の補修も大事な仕事の1つ。ここで働く1人の女性は、「お客さんは気に入ったものは、補修をしながら使い続けてくれるんですよ。」と語ってくれた。
自分が使っている製品を最後まで大事に使うというのは、まさにエシカルな精神。

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写真上:住民の大半がキリスト教徒(カトリック)である彼らにとって、宗教行事はとても大事なイベント。写真は、宗教行事で使用する装飾品を作る女性。

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写真上:できあがったばかりの鳥のモチーフ。

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写真上:緊張しながらドアを開けると、そこには温かい笑顔で仕事場を見せてくれる女性たちの姿があった。記念すべきドアの前にて。

おいしいアトリエ
QUEIJADA

このグループの代表である女性は、「すぐ近くにクレサソールのサステイナブルな認証マークの承認を受けたおいしいアトリエもあるの。よかったらちょっと覗いてみない?」と声をかけてくれました。「おいしいアトリエ?」ということで、そのアトリエもちょこっとのぞかせていただきました。

気になるアトリエとは、島の伝統的なレシピを忠実に守りながらお菓子を作っている場所でした。できたてのお菓子をいただいたのですが、小麦のかおりがやさしく香るおいしいお菓子でした。基本的には注文制をとっていて、この日は空港内のお店から注文が入っていたため、アトリエ内は忙しそうでした。

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写真上:アトリエ内の一部

注文制のスタイルをとっているこのアトリエは、できる限り食料の無駄を出さない工夫をしているという点で、フードロスの観点から見てもクレサソールから評価をされています。
また忘れていけないのは、ここでは若い人たちに対しての技術教育支援も行うことで、後世に伝統レシピを継承しているという点です。

裁縫や食を通じて伝統を継承している彼女たちの姿を見て、自分たちが受け継いだ伝統文化を未来の世代へきちんと受け継ぐことも、サステイナブルな社会を形成するための大事な一歩であるということを再認識したのでした。

さて次回は、サンミゲル島内で人気のサステイナブルなレストランをレポートします!