ポルトガルにある、エシカルな○○

ポルトガルってどんな国?
―実は、、、エシカルな魅力もたくさん詰まっているんです!―
ワールドトラベルアワードでヨーロッパのリーディング・ツーリズム・デスティネーションを受賞し、日本だけでなく世界中で今、注目を浴びる国・ポルトガル。ポルトガルと聞くと、みなさん、どんなイメージを持ちますか。サッカー?ワイン?それとも、ファドでしょうか?
今回はそんなポルトガルから、エシカルで魅力的な場所を1つ選び、またエシカルを実践していく上でのヒントを探ってみました。
サーキュラーエコノミーがキーポイント?
今回お話したいのは、リスボンにあるエシカルなゲストハウスです。その名も[Impact House]2018年4月にオープンしたばかりのゲストハウスですが、実は、じわじわと話題を呼んでいるのです。一見、普通のゲストハウスに見えますが、一体、普通のゲストハウスと何が違うのでしょうか。
アップサイクル

レセプション(出典:Impact House)
入って、すぐ目に入るのがレセプションの机です。何でできていると思いますか?木ですね。ただ、これ、新しく木を伐採してつくったものではなく、過去にベットのフレーム(ふち)として活躍していたものを解体して、作ったそうです。再利用したものとは思えない、見事な出来ですね。言われなければ、ベットのフレームだったとは、思えないくらい。

室内(出典:Impact House)
内装は、ナチュラルモダンな素敵な雰囲気です。驚くべきことに、ドアノブ(リサイクルされたプラスチックでできています。)から置いてある家具まで、ほとんど多くのものが資源を再利用してつくったもの、もしくはリサイクルショップで買われたものだそうです。有限な資源を再利用することで、古いものが、違う形となって命を新たに吹き返す。まさに、アップサイクルがここでは取り入れられているのです。
プラスチックを循環させる?
さらに、スタッフの方が語ってくれたのは、「只今実験中」というプラスチックを循環させるユニークな取り組みです。

プラスチックを循環させるユニークな自転車
(出典:Impact House)
1台の特殊な自転車がここには置いてあるのですが(ゲストも使えるようです)、このペダルをふみ動かすと、プラスチックが粉砕されるシステムになっているようです。そしてそのプラスチックから3Dプリンター等を使い、タイルやオブジェ、クリップといった実用的なものを、ゲストを巻き込みながら今後作り出していきたいと語ってくれました。プラスチックが、どんなものに姿を変えていくのか、、、考えるだけでなんだかワクワクしませんか?
どうやら、ここでは、新たに何かを買うというよりは、既に使われている資源から、新たなものを作り出すということが行われているようですが、どうでしょうか。もうお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、ここのゲストハウスのコンセプトは、ゼロエミッションです。つまり、ここではできる限り廃棄物をゼロに近づけ、資源を循環させるということを1つの目標にビジネスを行っています。理想的ですよね?
そしてそれを理想で終わらせずに、実践しているのがこのゲストハウスのすごいところでもあるのです。
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菜園(出典:Impact House)
食べ物も!
物だけではありません。例えば、ここでいただける食べ物たち。ゲストのために新鮮なフルーツがゲストハウス内に置かれていますが、これらは、スーパーで買っているわけではないようです。では、どこで買っているのでしょうか?その多くは、見た目の理由でスーパー等に卸せなくなったものを専門に取り扱う組合から購入をしているようです。

その理由は,フードロス削減と形状等が悪くても、問題なくおいしく食べれる。ということをゲストに示すためだそうですよ。
*フードロスの現状:本来食べられるはずなのに捨てられている食料は、日本だけで年間約632万トン。ちなみに、世界の食糧援助量は年間約320万トンだそうです。(2014年)食糧援助量より、日本で捨てられている食べ物のほうが大幅に上回るのですね?
(政府広報オンライン:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201303/4.html)
ただ、最近日本でもフードシェアリングサービス等を通じて、誰でもこの現状を少しずつ変えていくことができるようになったのは、ポジティブな動きだと思いませんか?しかも、買う側にも価格という面で大きなメリットがあることが、うれしい点ですよね。
100%サステイナブルを目指すということ

また、ここで料理として使う野菜等にも、彼らのこだわりが見られます。スタッフの方はこのように語ってくれました。
「私たちは、可能な限り地元の生産者の方から仕入れています。また、プラスチック製の包装材の使用を極力減らしていくという意味でも、多めの単位で仕入れるようにしているのです。なぜなら、私たちの直近の目標の一つは、ここで扱う食材を、生産から消費段階までにおいて、100%サステイナブルなものに変えていくことなんですから。」と。そして、さらに、さらに。
ゲストハウス内で余ってしまった食べ物は、状態がよいものはフードバンク(まだ食べれるのに様々な理由で捨てられそうになった食べ物を、必要としている施設、人々に届けるシステム)へ届けられます。また、それ以外は、ゲストハウス内の菜園の堆肥として利用されるのだそうです。ちなみに、菜園で収穫したものは、朝食のサラダや、フレーバー水に利用されるそうですよ。
貴重な資源を捨てるより、できるだけ循環させる。循環させるより、捨てることの方が一般的(?)な世の中ですが、考えてみたら、循環させて有効利用できるものって意外とあるのかもしれませんね。そして、それを作るのに最小限のエネルギーでできるものがあれば、、、それは、ぜひやってみる価値はありますよね?
気になるお値段ですが、ここのゲストハウスは個室だとだいたい、EUR35~(時期にもよるようです)、日本円で¥4,375(1ユーロ=125で計算した場合)から泊れるそうです。うれしいことに、個室でなければ、もっとお安く泊まれるそうですよ。
モダンな空間を保ちながら、環境や社会のことを考え、且つ、お手頃な価格で宿泊ができる場所。まさに、「売りてよし、買い手よし、世間(環境、社会)よし」のいわゆる三方よしのビジネスが、ポルトガル・リスボンにはあるようですね。
そして、最後に。ここのマーケティングマネージャーでもあるサラさんに、こんな質問をしてみました。
ーEthipor:日本人のエシカルへの興味は比較的高く、実際に行動に移すためには金額が大きなポイントの1つであることが、とある調査で分かっています。一方で、例えば、一般的にエシカル製品は安くはないので、エシカルな生活=高いというネガティブなイメージができてしまっているのも事実だと思います。ただ、ここのゲストハウスは、違いますよね。そこでエシカルなことを実践していく上で何かアドバイスを頂けたらと思うのですが。
―サラさん:エシカル/サステイナブルなことを実践するということは、必ずしも金銭的に「ハードルがある(=高い)」ことである必要はないし、着飾る必要も一切ないと思います。なぜなら、自分たちが今している行いが、今後の自分たちの生活だったり、次世代の人たちの生活に影響を及ぼすと考えたら、、、必然的にエシカルなことを考えて生活せざるをえないですよね?エシカルなことは「こうあるべき」という固定概念を一度外すことができたら、きっと、それを実践する上での新たな視点が見つかるはずですよ。現に、わたしたちがここで行っていることがその一例です。
サラさん、素敵なアドバイスをありがとうございました!たしかに、エシカルなことを実践する上で、「こうあるべき」ということは、存在しないのかもしれません。サラさんが仰った「固定概念を一度外してみる。」これは、とても大切なことですよね。
無理なく自分にあったエシカルなことを日々の生活に一つでも、ちょこっとだけ、取り入れてみる。そんなマイエシカルを、日々の生活の中で実践していけたら素敵ですよね?
そうそう、みなさん、ポルトガルへ旅行される際には、ここのホステルをブッキングすることを忘れないでくださいね!
●Impact House: Rua do Possolo 16, 1ªAndar, Estrela, 1350-252 Lisboa, Portugal