知られざるサステイナブルな島~ポルトガル・アソーレス諸島~(中編)

過去、現在そして、未来へとつなぐもの
前回お話したサンミゲル島内で流通するサステイナブルな認証マーク・CORES(コーレス)。それでは、一体どのような団体が認証マークをもらっているのでしょうか。
ポルトガルらしい強い太陽の光を浴びながら石畳を歩きふと顔を上げると、青い看板が見えてきました。「ここよ」というエリザベッチ(クレサソールのメンバー)さんが指指す小さな建物にたどり着き、少し重たいドアを開けると、そこには縫物をする女性たちの姿がありました。
ここでは主に、オーダーメードの縫物、縫物の補修、また伝統的な装飾品等がつくられています。繊細な刺繍が施されたハンカチ、タオル、ナフキン等は、この島の伝統工芸品の一つです。

写真上:女性たちがつくった商品(左上のハーブティーは除く)。商品についているタグ(CORES)は、サステイナブルな取り組みを証明する認証マークです。
私が訪れたときはまさに、島の行事のために彼女たちが準備をしている最中で,今回幸運にもその現場を見させていただくことができました。

写真上:設立当初から働いている女性たち。ここで働く前は自宅で縫物をしていたそうですが、この現場で本格的に働くことで、技術を学んでいったと語ってくれました。

写真上:「ほら、もうすぐ完成よ。」オーダーメードの作品はもちろん、お得意さんから依頼を受けた縫物の補修も大事な仕事の1つ。ここで働く1人の女性は、「お客さんは気に入ったものは、補修をしながら使い続けてくれるんですよ。」と語ってくれた。
自分が使っている製品を最後まで大事に使うというのは、まさにエシカルな精神。

写真上:住民の大半がキリスト教徒(カトリック)である彼らにとって、宗教行事はとても大事なイベント。写真は、宗教行事で使用する装飾品を作る女性。

写真上:できあがったばかりの鳥のモチーフ。

写真上:緊張しながらドアを開けると、そこには温かい笑顔で仕事場を見せてくれる女性たちの姿があった。記念すべきドアの前にて。
おいしいアトリエ

このグループの代表である女性は、「すぐ近くにクレサソールのサステイナブルな認証マークの承認を受けたおいしいアトリエもあるの。よかったらちょっと覗いてみない?」と声をかけてくれました。「おいしいアトリエ?」ということで、そのアトリエもちょこっとのぞかせていただきました。
気になるアトリエとは、島の伝統的なレシピを忠実に守りながらお菓子を作っている場所でした。できたてのお菓子をいただいたのですが、小麦のかおりがやさしく香るおいしいお菓子でした。基本的には注文制をとっていて、この日は空港内のお店から注文が入っていたため、アトリエ内は忙しそうでした。

写真上:アトリエ内の一部
注文制のスタイルをとっているこのアトリエは、できる限り食料の無駄を出さない工夫をしているという点で、フードロスの観点から見てもクレサソールから評価をされています。
また忘れていけないのは、ここでは若い人たちに対しての技術教育支援も行うことで、後世に伝統レシピを継承しているという点です。
裁縫や食を通じて伝統を継承している彼女たちの姿を見て、自分たちが受け継いだ伝統文化を未来の世代へきちんと受け継ぐことも、サステイナブルな社会を形成するための大事な一歩であるということを再認識したのでした。
さて次回は、サンミゲル島内で人気のサステイナブルなレストランをレポートします!