「ストローをやめる前に、ちょっぴり知っておきたいこと。」とリオ・デジャネイロ

Beija flor

みなさん、家で冷たい飲み物を飲む時って、ストローを使っていますか?
おそらく、多くの方が「NO」ではないでしょうか。
では、外出先で冷たい飲み物を頼んだ時はどうでしょうか。

2018年はもうすぐ終わってしまいますが、今年はまさに、ストローが世界的に注目を浴びた年だったのでは、、。プラスチックストローの使用を市として全面禁止した米国・シアトルのニュースは、大きく報道され、個人的にも印象に残っているニュースの一つです。米国だけではなく、台湾、欧州等でも同様な動きがあり、世界はまさに「プラスチックストローフリー」へ向けて動いていましたね。

日本では、企業さんを中心に動きがあり、すかいらーくホールディングスさんは2020年までに国内外の全店舗でプラスチック製ストローの使用を廃止すると表明されています。(早速、今年の12月10日付でガスト全店でストローが廃止になったそうです。)
*(流通ニュース:https://www.ryutsuu.biz/promotion/k121046.html)

この背景にあるのは、プラスチックごみの深刻な海洋汚染がありますが、
もしかしたら、実際に海の現実を知らなければ、誰(私も)でも「そうなんだ」で終わってしまう問題なのかもしれません。

昔から海のゴミ(ポイ捨てや、風で飛ばされ収集からもれてしまったもの等)については問題になっていましたが、おそらく多くの方にとっては、それが日常生活に特別支障をきたすものではなかったかと思います。
けれども。

ちりも積もれば山となる

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マイクロプラスチックという言葉を聞いたことはありますか?マイクロプラスチックとは、プラスチックの細かな破片や粒子です。
ハミガキ粉といった日用品にも研磨剤として入っているようですが、海のゴミが波や紫外線によって砕かれることでもできてしまいます。

海にあるゴミはそのままにしていると、波がその時は飲み込んではくれますが、それは時間とともに[マイクロプラスチック]に変わって、海中にずっと残り続けるということを意味するのですね。

マイクロプラスチックが海中に残り続けるとどうなる?

Repeite a natureza

今年の秋に、オーストリアのウィーン医科大学の胃腸病学者によって明らかになったこと。それは、国籍の異なる8人の排泄物をサンプリング分析した結果、8人全員の排泄物からマイクロプラスチックが検出されたということでした。
(Business insider::https://www.businessinsider.jp/post-177973)

海にマイクロプラスチックが含まれているのであれば、魚がそれを飲み込むのは当然ですよね。さらに、その魚を人間が食べたのであれば、人の排泄物から検出されたということは、当然といえば、当然なのかもしれません。そしてどうやら、今は魚だけではなく、水道水、塩等いったものからも検出されているようです。
(The Guardian:
https://www.theguardian.com/environment/2017/sep/06/plastic-fibres-found-tap-water-around-world-study-reveals),
(NationalGeographic:https://www.nationalgeographic.com/environment/2018/10/microplastics-found-90-percent-table-salt-sea-salt/)
こうした事実もあり、世界中でプラスチックに対する見直しが始まり、「プラスチックストローフリー」運動が世界各国で活発化しているようです。

なぜ、ストロー?

CANUDOS DE PLASTICO 1
ただ、なぜストローなのでしょうか。プラスチックでできたものって、ペットボトル、レジ袋、包装/容器等いろいろありますよね。
その疑問に答えてくれる記事を見つけました。その一つの理由が大半の人にとってストローはなくても困らない
という点にあるようです。
(National Geographic:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/071100307/)
たしかに、やめるのに大きな努力を必要としないのであれば、気軽に始めやすいですよね。
そして、大事なことは、「ストローをやめる」ということだけではないようです。

プラスチックフリー運動を主導している、プラスチック汚染アライアンス(Plastic Pollution Coalition)は、このように言っています。
「私たちは、ストローをプラスチック問題について人々が向き合うための一つの糸口だと考えています。ストローというのは、時間にすれば必要とされるのは、ほんの一瞬。それに、使い終わったらすぐにゴミ箱へ行ってしまうものなのですから。」
(BUSINESS INSIDER:https://www.businessinsider.com/plastic-straw-ban-why-are-there-so-many-2018-7)

なるほど。ストローをやめることがゴールではなく、ストローをきっかけにプラスチック問題について考えてもらいたいという思いが、フリーストロー運動には込められているのですね。普段何気なく、使っているストローやレジ袋。

買物の時に、「今、どうしても必要なものなのか」ということを改めて自分に聞いてみることって、実はとても大事なことなのかもしれません。(そう思えるためにも、心の余裕を大事にしたいものです。。)そしてこれは、ストローだけではなく、どんなことにでも言えることかもしれませんね。

ブラジルでも始まったストロー禁止令-はじまりは、リオから-

Sem plastico

リオデジャネイロといえば、まず思いつくのがビーチでしょうか。コパカバーナ、イパネマビーチは特に有名ですね。また、イパネマといえば、アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲「イパネマの娘」でも有名ですね。

さて、そんなリオで今年の7月にストロー禁止令がブラジルで初めて裁可されました。
裁可されてから2か月間は猶予期間が設けられ、それを過ぎてもプラスチック製のストローを使っていた場合は罰金が徴収されます。ちなみに、ストローをどうしても提供する場合は、生分解性のある材質のものか、再利用型のものなら認められるようです。

気になる罰金ですが、金額としては1650レアル、日本円で約47,850円。(1レアル=29円で計算した場合)ただ、違反の回数によっては最大6000レアル、日本円で174,000円まであがるようです。また、万が一、プラスチック製のストローを使用していたレストラン等を市民が発見した場合には、番号1766へ電話をすることが推奨されているようです。
(ODIA:https://odia.ig.com.br/rio-de-janeiro/2018/09/5575821-vigilancia-sanitaria-comeca-a-multar-estabelecimentos-com-canudos-plasticos.html)

裁可されて数か月たちますが、実際のところはどうなのでしょうか。
リオ在住ではないですが、サンパウロに住んでいる複数のブラジル人に聞いたところ、
「プラスチックに代わる素材のストロー選びに多くのお店が苦労しているようだ」
という声をちらほらと、聞きました。

一方で、「自分の住んでいる地域で、ステンレスストローが販売されているのをよく見るようになった」という声もあがっていたので、リオ以外の市、州でも動きが広がりつつあるのかもしれません。ということで調べてみたのですが、
サンパウロ州のサントス市(コーヒーで有名ですね!)を含めた複数の市や州で、既に同様の法令が成立しているようでした。どうやら、この動きは、少しずつブラジル全体で広まりつつあるのですね。
(Zona da Mata:https://g1.globo.com/mg/zona-da-mata/noticia/2018/09/21/lei-proibe-a-distribuicao-de-canudos-plasticos-por-comercios-em-cataguases.ghtml?fbclid=IwAR2bWEn3Lm22fKy0t4fZM6nOJV4Y_147U5p6aJt1VJloVE1XdSd0w1hjv3c)

食べられるストロー

ブラジルのファーストフードチェーンのBob’sでは、ミルクシェイクに使うストローを、食べられるストローに採用することを決めました。サンパウロ、リオデジャネイロの一部のお店では既に使い始めているそうです。

一体何でできているのかが気になりますが、なんと、チョコレートとクッキーでできているそうです。
ミルクシェイクは既に甘いので、個人的にはもうちょっと他のチョイスがあってもよかったのでは、、、と思ったり。
(PEGN https://revistapegn.globo.com/Franquias/noticia/2018/09/para-substituir-plastico-bobs-lanca-canudos-comestiveis.html)
おそらく、もっとユニークな代替ストローが今後でてくるのではないかと思われますが、
大事なことは、プラスチックストロー廃止がゴールではなく、まずは、その先にあるプラスチック問題に対して意識を向けることでしたよね。そのところは、どうなのでしょうか。

ストローからプラスチック問題、そして。

PASSARO 1

実はもう一つ、リオデジャネイロでは新たにプラスチックに関連する法が裁可されたことが、今年の8月に発表されました。
それは、マイクロプラスチックを含む製品の製造・輸入・販売等を禁止するものです。
また、河川や海等へマイクロプラスチックを含む製品を流すことも禁止しています。

マイクロプラスチックは、洗顔料や化粧品にはマイクロビーズという形で含まれていることが多いようですが、あまりにも小さいので、実際にはそのまま下水道をすり抜け、海に直接流れてしまっているようです。そういった意味で、今回の法律は、製品の使用も禁止するという意味も含んでいるのでしょう。

こちらも猶予期間(18カ月)が設けられていて、その間に企業さんはマイクロプラスチックに代わるものを採用しなければいけません。
(Folha de S.paulo:
https://www1.folha.uol.com.br/mercado/2018/09/rio-aprova-lei-que-proibe-microesferas-plasticas.shtml)

ストローに続き、マイクロプラスチックを含む製品の製造・販売等を禁止したリオデジャネイロ。この動きは、とても大事な一歩だったと思います。ただもっと大事なことは、これが色々な意味で「始まり」ということですよね。

今回はプラスチック問題を取り上げましたが、実際にはブラジルも、どの国も様々な問題を抱えていると思います。
ただ、どんなに小さいと思われる問題でも、辿ってみるとすべての諸問題につながっているということ。そして、フリーストロー運動が教えてくれた、まずは一人ひとりができることから始めてみるということ。このことを忘れずに、いたいなと思います。

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